吃音 どもる

「あなたはスムーズに話せていますよ」と言われるとどうしてこんなにも強く否定したくなるんだろうか。

「どう聞いても私どもってるでしょ」って言いたくなってしまう。「スムーズに話せたほんの一部だけを聞かずにもっとちゃんと聞いてくれ」って思ってしまうのは何故なんだろう。

 

 

私には吃音がある。子どもの頃から。

 

「ありがとう」と言うのに数分かかった。「もしもし、○○さんいますか?」の言葉が出ずに電話越しに何度も「は?なんて?」と言われたことがある。

学習発表会の練習では「お前の自己紹介だけで持ち時間が終わるわ」と大笑いされ、「ハチは何で言葉がちゃんと言えないの?」と不思議そうに聞かれたことが何度もあった。

 

英検3級は面接があるから受けなかった。高校入試の面接では何百回と練習した文章が出てこず「緊張してますか?」と尋ねられた。

 

「ハチは"さ行"が言えないから」と言われ、友達に笑われた。

私と同じく吃音のある人間が真似されからかわれ笑われているところを何度も何度も何度も見てきた。

その度に「次は私の番だ」と震えていた。真似され笑われた時は悔しさで潰れそうだった。

 

そういった経験を、「気にすることじゃない」と一蹴されているような気持ちになるのかもしれない。

 

 

カウンセリングでも、心療内科でも、パーソナルサポートセンターでも、みんなみんな「あなたはスラスラ話せていますよ、気にすることないです」と笑う。

私だけが「私はどもるんです」と言う。

何なんだろう、この状況。何で私はこんなにも「私はどもるんです」と主張しているんだろう。

 

「気にすることないですよ」と言われたら「あぁそうなんだ大丈夫なんだ」と安心するものなんだろうと思っていた。多分周りの人達もそう思って言うんだろう。

だけど私は、そう言われる度に否定をしてしまう。「違うんです」と。

 

 

「あなたよりももっと言葉が出てこない人もいましたよ」なんて情報がほしいんじゃない。

「今スムーズに話せてたじゃないですか」ってはぐらかされたいわけじゃない。

 

私は、真剣に悩んでいるんだと伝えたいのに伝わらない。

この先もきっと吃音に悩まされ苦しめられるであろうことも分かっているから、どう向き合っていけばいいのか知りたいのに。

誰も教えてくれない。